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Project Story プロジェクトストーリー

Project Story Project Story
Story.01

人とロボットの協働で進化する量産現場。 仲間と挑む、挑戦のものづくり

プロジェクトメンバー Project Member

本プロジェクトは、部署の垣根を超え、現場の実務部隊と後方支援、そして全体管理が一体となって推進されました。

  • S.H

    溶接課

    プロジェクトの中心的存在 /ロボットのティーチング(動作プログラム作成)からライン立ち上げまでを技術面で主導した。

  • T.Y

    溶接課

    実務担当 /製缶(部品の形作り)からロボット後工程の溶接、部品取り付けまで、製造の全工程を担う実働部隊。

  • H.S

    溶接課

    既存製品担当 /プロジェクトメンバーが新規案件に集中できるよう、既存顧客の小物部品の製缶を一人で一手に引き受けた。

  • S.T

    溶接課

    全体統括・品質管理 /人員配置の決定、元請け企業との技術折衝、品質の指導など、プロジェクトを俯瞰して管理。

  • R.S

    管理課

    既存製品担当(中型・大型)、工程・レイアウト管理/ 既存顧客の「中型・大型製品」の製缶・溶接実務を一手に担い、現場を守りつつ、新ラインの配置や物流などのレイアウト設計を支えた。

プロジェクトのスタート Introduction

ある日、大手メーカーから建設機械(ミニショベルのアーム部品)の量産依頼が舞い込んだ。これまで同社が主に製造してきた「少量多品種」の部品とは異なり、高い強度と精度、そして繰り返しの量産が求められる難易度の高いプロジェクトである。
この挑戦の鍵を握ったのは、工場の一角で袋を被り、長年放置されていた「溶接ロボット」だった。「眠っていた設備を蘇らせ、量産体制を構築する」。若手からベテランまで、志を一つにしたメンバーによるゼロからの挑戦が始まった。

プロジェクトの流れ Project Flow

  • 依頼の受注と量産体制の検討

    高精度維持のため、ロボット活用を決定。
  • 既存ロボットの改造とプログラム開発

    放置されていたロボットを再整備。動作プログラムを構築。
  • 試作と失敗の繰り返し

    精度が出ず、ロボットの動きに課題。
  • 職人の知恵を取り入れた再設計

    熟練の製造部長のアドバイスをもとに再構築。
  • 量産ラインの確立と安定稼働

    品質・納期ともに安定し、顧客の信頼を獲得。
  • 現在の体制整備

    属人化を防ぎ、誰もが携われる環境づくりへ。

Episode.01 苦闘と絆。
絶望の淵で届いた、顧客からの言葉

量産開始を目前に控え、チームは最大の危機に直面していた。目標は「1日10台」。しかし、実態は「1日1~2台」が限界という日もあった。さらに、ロボットが1時間かけて行った溶接を、人間が2時間かけて手直しするという本末転倒な状況に陥っていた。

S.H 「ずっとロボットはあったんですけど、袋も被っちゃって放置状態だったんですよ。そこから今のラインを立ち上げることになって。でも、ロボットなんて初めてやったんですけど、意味が分からなくて全く。専門業者さんに教わっても聞いたことのない専門用語ばかりで、そこが一番苦労しました。」

T.Y 「僕はまず板をくっつけて形にする製缶の工程から始めたんですけど、教えていただいた通りにやってるつもりでも上手くできない。寸法が出てなかったり、仮止めがロボット溶接中に割れたり。あとは時間が遅いというのが一番苦しみました。とにかく早くやるようにするのが大変でしたね。」

R.S「一番しんどかったのは終わりが見えない感じで進んでた時です。いつ落ち着くのか誰も分からないけど仕事は来るし、納期は遅れる。ロボが調子悪い、手直しに人が取られる、既存の仕事もやらなきゃいけない。4ヶ月か5ヶ月くらい続いて、当時のことは必死すぎてあんまり覚えていないです。それくらい切羽詰まっていました。」

ついに「残念ながら、納期に間に合いません」と顧客へ連絡すると、先方の担当者は意外な言葉を口にした。「自分が手直しを手伝いに行くので、一緒に頑張りましょう」

S.T「1日10台作らなきゃいけないのが1~2台しか作れなくて、手直しに何時間もかかる状況が続いて。さすがにみんな限界になっていたので社長が元請けさんに電話したんですよね。もう無理ですって。そしたら、自分が手直しに行くので一緒に頑張りましょうって言ってくれたんです。」

R.S「実際に、向こうの担当の方が土曜日に来てくれて。その後のやり方も含めて、手直しを一緒にやってくれた。あそこでお客さんが来てくれて声かけてくれたことで、諦めずに済んだんだと思います。」

Episode.02 職人の一言が、
ロボットに魂を吹き込んだ

ロボット溶接という最新の手段を導入したものの、現場は大きな壁にぶつかっていました。理論やデータといった「数値の正解」を追い求めるだけでは超えられない領域に、チームは頭を悩ませていました。

S.H 「ロボットのプログラムをどれだけ調整しても、思うような仕上がりにならない。そんな行き詰まっていた時に、T部長が言ったんです。『自分が溶接するなら、こう動かすけどな』――と。自分では気づけない『長年の経験を積んだからこそ分かる職人の微細な動き』を部長に指摘してもらいました。」

S.Hは、T部長が長年の経験で培ったその手の動きを、一つひとつ丁寧にロボットのプログラムへと翻訳していきました。職人の手の動きを再現するように書き換えてから、溶接は打って変わってスムーズになりました。数値という理論に、熟練の技という魂が吹き込まれた瞬間でした。

Episode.03 プロジェクトを裏側で支えた
「もう一つの戦い」

この成功は、新規案件にかかりきりになった担当者だけの努力では成り立ちませんでした。既存顧客の仕事を守り抜いた「裏のヒーロー」がいました。

H.S「自分はこの案件に直接は関わってないんですけど、S.H君たちが立ち上げに行ったので、今まで複数人でやっていた小物の製缶を自分が中心になってやっていました。今までいた人がロボットプロジェクトに行った分、納期が間に合わなくなりそうで。人の手を止めてしまわないように優先順位をつけて、どこから作るか考えながら必死でした。」

R.S「H.S君が小物をやっている横で、自分は既存のお客さんの中型・大型製品の製缶溶接を担当していました。同時に、新ラインの物の動きやレイアウトについても少し担当させてもらいました。既存の仕事を回しながら新しい配置を考えるのは大変でしたが、物流をどうスムーズにするかという視点は欠かせませんでした。」

S.T「立ち上げの時は団結しようってなったんだけど、上手くいかなくなった時に1回チームワークは弾けたかなと思います。個々の不満が大きくなって。でも、1つのことが上手くいくと、また少しずつ団結して復活していく。その繰り返しでした。」

H.S「忙しそうで声をかけづらい時もありましたけど、情報を伝えて連絡し合って、相談しながら連携は取れていたと思います。一人でやる状況で、自分で考えて作る機会が増えたのは、自分自身の製缶技術の成長に繋がったと感じています。」

R.S「みんなしんどいから、お互い大丈夫かなって気にかけるんですよ。自分とH.S君の間でも『きついね』って会話をしていました。それでも、職場を1個立ち上げたという実績が一番大きいですし、あの日々に比べれば今はまだ頑張れるという風に、気持ちが強くなったと思います。」

未来を担う若者たちへ

今、工場ではこのアーム部品が安定してラインを流れている。この困難を乗り越えたメンバーからのメッセージ。

T.Y 「自分の中で『ちっちゃいゴール』を作って、昨日より5分だけ縮めてみようとか、自分で考えながらやっていくと仕事は楽しくなります。失敗したことや『こうすれば良かった』という経験が、今の他の仕事にも生きている。引き出しが増えたのが一番大きいです。」

S.T「新しいことをやる時は必ず辛いけれど、上手くいかった時の達成感は比べるものがない『やりきった感』があります。若いうちから経験していくと、自分も周りとの関わりも強くなる。一生懸命やっていただきたいと思います。」

S.H 「なかなか上手くいかなくて本当にできるのかと思う時もありますが、最終的にはちゃんと形になるんだなと思いました。時間はかかるかもしれないけれど、そういう積み重ねが人として一番成長させてくれるんだと思います。」

眠っていたロボットを蘇らせたのは、最新の技術だけではない。顧客の期待、職人の知覚、そして仲間を信じる泥臭いまでの熱意だった。